
これは昭和55年、京都書院から発刊された「洛風林百選」。
当時の主だった帯が178本、見事に掲載されています。
切畑健氏や石川あき氏といった、錚々たる顔ぶれが文を寄せられ、
最近はインターネットで紹介されることが多く、ご存知の方もおられることと思います。
今はもう目にすることがなくなった懐かしい帯の数々……。

この「インド聖鳥花文」は、その当時の真美弥のベストセラー。
お嬢様のお支度にと、よくご注文頂きました。

「洛風林百選」をご覧になられたお客様から何年か前に、
この”一輪椿”の帯が織れないものかと、おたずね頂いたことがありました。
その時すでに、この帯を織った機(はた)はたたまれていましたが、
洛風林さんに相談しましたところ、
機が変わるので全く同じ織り方は無理ですが、
同じ柄でこの雰囲気でということでならと、引き受けて下さいました。
遜色のない椿の帯が折り上がり、たいへん喜んで頂けました。


この「斗」も、別の方からこの大胆な雰囲気でとのご要望がありましたが、
こちらは残念ながら、再現できる機屋さんがありませんでした。

ページを繰っていますと、このオレンジ色の「スキタイ唐草」に目が止まり、
もしかしてと思い、私用の袋帯を出してきました。

この水縹の帯、洛風林百選に掲載の「スキタイ唐草」によく似ていて同じ柄かと思ったのですが、
よく見てみますと少し違っていました。
今となってはよくわかりませんが、仕立ての台帳を繰ってみますと同じく”スキタイ唐草”とあり、
もしかしたら同じモチーフから生まれた兄弟の帯だったのではないかしらと思えてなりません。
* * *
例年この時季になると春の花が咲き競い、
お越しになったお客様にご覧頂いていますが、
今年は残念です。

大きな葉の下で隠れるようにして咲く”八角蓮”の花

毎年お目見えの”鳴子百合(ナルコユリ)”

”二人静 ” ”レンゲショウマ”と同じ鉢で仲良く育っています。
皆様と笑顔でお目にかかれる日が、一日も早くやってきますように。