犬塚勉展 純粋なる静寂 |

何年か前の”日曜美術館”で放送され、
ぜひ観に行きたいと思った”犬塚勉展”でしたが、
場所は東京からまだ乗り継ぎをしなければ行けない”奥多摩”
さんざん時刻表をめくったあげく、
図録を取り寄せただけで、
いつの日か関西へ来るのを、待つことにしました。
その”犬塚勉展”が京都へ来ることを知り、
何ヶ月も前からカレンダーに書きとめていました。


自然をこよなく愛し、そこから受け取った感銘を、
石ころひとつ、草一本まで、細かく描き表した絵。
画集を見て、「写真みたいね」と言った人もあれば、
犬塚勉の絵から、何かを感じ取って、じっと見入る人。
感じ方は、これまで経験してきた想いによって人さまざまです。
今回、
画集ではない本物の犬塚勉の絵を、
間近で見ることができました。

これは、絶筆となった未完の絵。
もっと景色を観察するためにと、もう一度訪れた谷川岳で、
若くして帰らぬ人に。
遭難することがなければこの先、
犬塚勉の絵画はどのように展開していったのだろうかと思うと、
ほんとうに、残念でなりません。
面相筆で描かれた絵の精密さを、
写真でもっと、お伝えできればいいのですが……。
”犬塚勉展”は、1月23日(月)まで、京都高島屋にて。