色留袖 慶長大笹 <真美弥 別染め> |

このお店ならと、若い頃、店主がお世話になった
東京の京橋にあった『かるも屋』。
呉服の小売店としては珍しく、
自店で図柄を考案し、誂えの着物をつくっていました。
今は亡き杉村春子さんや越路吹雪さん等のお着物も、
この”かるも屋”で、染めていたと聞いています。
そこで、下絵屋さんや糊屋さん、友禅師さんや湯のしやさん、等々……。
一枚の着物を染めるため、若い日の店主は、
何軒もの職人さんのところを持ち回っていました。
そして何年か経って、ある日、
思う通りにやってみろと、
一枚の着物を任されて染めさせてもらうことになりました。
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さて、
『かるも屋』からこちらへ帰ってきた店主が、
はじめて京都で染めに出したのが、
この色留袖です。

父親の時からお世話になっていた、この着物の誂え主といっしょに、
慶長時代の小袖の図録を広げての打ち合わせの末、
この着物がうまれました。
その誂え主の方と一緒に多くの場面で活躍した、
この色留袖”慶長大笹”、
今、真美弥に里帰りしてきています。

大胆な大笹の柄に合わせた、染め分けのライン。
笹の葉の模様になっている、手描きの疋田や青海。
ていねいな、本格友禅の仕事です。

生地は、シボの大きな古代縮緬。
大笹の図柄を、いっそう重みのあるものにしています。