附下小紋着尺 洋陶文 <秀粋の着物> |
明日の朝、店に挿す花を摘みに、屋上へ上がりますと、
闇の中から、
ルルルーーッ ♪ ルルルーーッ ♪ と虫のこえ。
鈴虫でもコオロギでもありませんが、確かに秋の虫。
ひんやりとした夜の空気が、いっそう涼しく感じられました。

油絵を思わせる深い色合いの、お着物です。
小紋ですが、仕立てると、模様が上を向くように染めてある、
附下小紋です。

お召し機で織られたこの生地は、しっかりとした地風で、
とても着やすいのが特徴です。
大きな市松の地紋が、唐草模様に、よく合っています。

それぞれの色は落ち着いた色合いなのですが、
その色の重なりで、とても、個性的な趣きになっています。
色糊をつかったり、バイリーン(不織布)の上から型染めをしたり、
他には真似のできない技を駆使して、この着物は染められています。

とてもインパクトのあるお着物ですので、
合わせる帯はシンプルな物がいいのではないでしょうか。
無地に見えるものや、大柄の縞や格子など。
個性が強いだけあって、帯選びも、なかなか一筋縄ではいかない一枚です。
sold out
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ホトトギス 2011年8月 白山にて